007: 吹奏楽 練習法 大きな音を出すメリット・理由・方法

吹奏楽 練習法 大きな音を出すメリット・理由・方法

 大きな音、というのは音量の大小の問題、と簡単に思えるかもしれません。でも、楽器の性能、バンドの力量、個人の表現幅、といった面で非常に効き目のあるパラメーターです。いわゆる楽器や演奏の技術の一つとして、大切なものです。

うるさいスピーカーのイラスト

 

前の章では、「あなたの音は小さい」「だから大きくすべき」とお伝えしました。この章ではその理由をしっかり確認し、さらにどのように出すか、ということについて述べたいと思います。

 

前提:あたなの音は小さい

 

先にも述べましたが、皆さんが日頃演奏している環境は、ホールじゃなく、練習室や広くても音楽室、場合によっては自宅かもしれません。

社会的な影響で、良い練習環境に通えてないかもしれません。

 

しかし演奏会の本番はホール。このホールいっぱいに響かせる演奏は、実は毎日の練習ではなかなか体感できません。

音楽室の程度の広さや音響処理では、ちゃんと設計されたホールの音は再現できません。

 

一番いいのは、ホールで練習することです。自分の音がどのくらい響くのか、通用しないのか、が分かります。きっと毎日演奏するうちにホールの音響を活用できるような音になるはずです。

でも、そんなのなかなかできません!

現実的に一番いい方法はこれ。

実際に大きい音の実演を近くで体験すること

もし、学校などにOBでプロの奏者などが来た時はチャンスです。細かいレッスンなども貴重な体験ですが、時間が無いときには一曲でもいいので、隣で吹いてもらってください。びっくりするくらい大きく感じますが、それが標準的な楽器に期待される音量です。

既に「大音量」を出せる人の音でびっくりして、次に自分もそれを目指す。この方法です。

 

大きな音が出せる事のメリット

 

良い音、というのは色々なパラメータで表現できます。音質が良い、ということで使われることが多いのですが、「表現できる音量の幅がある」ということも、良い音という評価になります。いわゆる「ダイナミックレンジ」です。

 

小さい音から大きい音まで、しかもそれぞれの音量で楽器の魅力を表現できること。これも1つの技量です。

 

図で、小さな音しか出せない人より大きな音が出せる人の表現力が大きな幅があることを説明します。説明するまでもありませんが、ささやくような小さな音から、爆発するような大きな音まで出せる人の方が、より表現力がある、と評価されます。

 

赤い矢印は小さい音量の演奏者、青い矢印は大きい音量の演奏者、とします。50とか100は相対的なイメージの数字ですので、厳密な単位で考える必要はありません。

縦の矢印が「音量」の使いこなせる幅とします。ここで単純に表現できる範囲が倍も違うのです。

 

横の矢印は、それに伴って「音色」に変化があることを表します。この音色は音量に連動して自動的に変化する要素もありますが、上手な人は、大きい音色でもやわらかい音、小さい音量でもしっかりした音、などのコントロールもできます。そうすると、音量×音色で、より大きな表現幅があることになります。

 

仮に、ある程度自動的に音色が変化する、とします。このとき、赤い矢印(音量が小さい演奏者)が使える音色のバリエーションは、黄色から青緑まで。大きい音が演奏できる人は、全ての色が使える、というこになります。

 

このブログの前の記事で楽器は大きな音を出すように発展してきた、というのを説明しました。

007: 吹奏楽 練習法 大きな音を出すメリット・理由・方法

楽器は「大きな音をだせるように」という発展もしてきました。もちろん、音楽という表現範囲での大きさの追求です。

音楽を損なうような音色で大音量を演奏することは期待されていません。大きい&良い音を目指したわけです。

しかし、音量が小さいところから最大のところまで、全く同じような音質を保つ、という設計は大変難しいので、模式図のように「音量にある程度連動する音色」が産まれることもあります。

結果として、実用的で魅力的な「良い音の出せる音量の幅」というのは存在してしまいます。

 

むやみに息の量とスピードを上げてもだめ

 

むやみに息にパワーを込めても効率的に大きな音にはなりません。

音響物理的に楽器を考えるときに「効率」という考え方がしばしば登場します。理系的な目で見れば、息をたくさん&速く入れれば大きくなる、という単純なものではないのです。

入れたパワーを音量にしっかり結び付けるには、しっかりと楽器が震動しやすい状況を作らないといけません。

010: 吹奏楽上達法 楽器は勝手に震動してくれる。こき使おう。

↑こちらで、実際にはエネルギーが少なくても大きな音が出る仕組みを解説してます。

また、でっかい音を一発出す大会、ならば良いのですが、音楽を演奏するには、外部(指揮者など)から要求されるタイミング・音色・長さ、そして音量で演奏しないといけません。

音楽は時間軸で他の演奏者と連動して動きます。「効率良く音を出す」という考えも必要です。

 

実際に吹いてみましょう

 

力んだりせずに無理なく吹ける一番大きな音を出してみてください。この時、音程も音色も安定していいる、ということは守ります。まずはそれを基準にします。恐らく、最終的には体感的にその2倍くらいの音量は出るはずです。

 

まずは一回音を確認したら、次のやり方で一つずつ意識を作っていきます。

 

①力まずに姿勢を良くして、胸を正面に向ける

 

まずはこれだけで、腹式呼吸から発生する空気がスムーズに流れます。胸の開きすぎには注意が必要です。これ以降も余計な力は一切不用です。

 

②あごを少し上げて、気道が圧迫されてない状態を意識

 

猫背で首が前に出てうつむくと、のどの中を通る気管が圧迫されます。腹圧による音量コントロール以外の抵抗があると、音が正確にコントロールできません。

 

③「ふー」じゃなくて「はー」の喉の状態を意識

 

気道をより広くするイメージです。これも無理な力は無用です。

 

④自分の音量はもっと大きく出る、とイメージする

 

結構見逃されがちですが、人間は意識することで色々な行動を自然に規制してしまいます。いつものフォルテシモはこれくらい、と思っていると、それ以上の音量は出ません。頭の中のリミッターを意図的に解除してください。

 

⑤しっかり息を吸う

 

いつもより姿勢が良くなっているから、いつもよりちょっと多めに息が吸えるはずです。でも、「無理に吸う」ことはしないでください。あくまでもリラックスした状態で、意識的にしっかり吸うことが重要です。こちらも意識していつもより多く吸えると、少しずつ自分の吸う分量が増えていきます。

 

⑥イメージを作ってから、最初からしっかり大きく吹く

 

大きく良い音のイメージを頭の中で一度作ってください。その状態で、一気に太いイメージの息を安定して入れます。野球やテニスなどで、バットやラケットの「スイートスポット」に球が当たると、驚くほど余計な震動などなくすっ飛んでいきます。もし経験していたら、まさにこのようなイメージです。もちろん余計な力が入らないようにします。

 

ここまでをまとめると、

 

①姿勢を良くして、胸を正面に向ける

②あごを少し上げて、気道が圧迫されてない状態を意識

③「ふー」じゃなくて「はー」の喉の状態を意識

④自分の音量はもっと大きく出る、とイメージする

⑤しっかり息を吸う

⑥イメージを作ってから、最初からしっかり大きく吹く

 

①~⑤を意識すると、最初はあまり長く吹けないかもしれません。むしろ前よりロングトーンが短くなるかもしれません。でも、後で説明する「効率」のところで解決するので、今は短くなってしまうことを心配しないでも大丈夫です。

 

簡単に言ってしまえば、基本的には無理なく太い息を出す意識をすること、しっかり息を吸うこと、だけなのですが、自然にこれができてないうちは、やはり一つ一つ意識する必要はあると思います。

身につくためにはもう一つ情報が必要。まだまだ解説は続きます

実際にこれが身につくには、もう少しその原理などを知った方が確実なので、その情報はまたあとで。
また、素で大きい音を意識できるようになったら、プラクティスミュートを付けても大丈夫です。ぜひ、「大きい音」を「しっかり・普通に」出せるようになってください。




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