004: ゲーム開発、その中身は誤解されがち

ゲーム開発、その中身は誤解されがち

ゲーム開発という行為自体があまり理解されていないのでは?ということを考えることもあります。

割と世の中では浮かれた職業的な取り扱いもされてきました。 でも、案外真面目に課題を解決するために頑張っている側面もあります。

ゲーム開発の現場に入ってきたばかりの初心者は、そのあたりを全く理解していないこともあります。

いったいどんな内容の仕事なのか?どの分野でも通用する業務内容の言葉に置き換えてみたいと思います。

●いったい何をする人たち?

ゲーミフィケーションは、解決したいことがありそれを解決した、という人が作ったノウハウ、と考えています。

でも、そもそもゲーム開発者はいったい何をしてそれらを生み出したのか?ということを理解できると、分かりやすくなります。 現実はかなりシステマチックで緻密で地味な作業です。

 

なにやらポップな作業してるみたいですが・・・

こんなゲームを作る、と決めてから発生する作業を順番に、できるだけ一般名称に置き換えてみます。

こんな具合になるでしょうか。

  • 新たな行動ルールを作る
  • それを成立させる新たな世界観を作る
  • その世界の行動にふさわしい新たなUIを作る

なんと、これらをゲームタイトルを一つ作るごとにやっている訳です。

  • デザインやキャラクターを適用する

はまた別の要素として分離できます。

というのも、有名なゲームも、最初は灰色の素体が戦う形でプロトタイプは作られる場合があります。つまり、上の3つが作業として「ゲームシステム」を作っていることになります。

それぞれの作業を確認

これらの作業を分解してみます。

新たな行動ルールを作る

ゲームが題材にする舞台は、しばしば架空の世界が用いられます。

そのため、我々が住んでいる世界とは違う現象が起きます。さらに、その現象も適当にランダム発生していては対応もできない(ゲームとして)。そのため、発生や対応にあるルールを作っていきます。

例えばポケモンを例にとると…

共通部分

人間が生活する世界は我々の世界に割と似ています。貨幣があり、仕事があり、老若男女がいて、異なる国や文化があり。

新規追加要素

違うのは、そこに「カプセルで捕まえられる成長するモンスターがいる」ということです。前者の似ている部分のルールは我々の世界の共通ルールを使う方が合理的です。説明の手間も省けます。すると、ポイントは、新たに付け加えられた「モンスターが存在する」ということを、システム的に破綻しないような決め事を作ることになります。

具体的には、成長に関するルール、バトルに関するルール、捕まえ方に関するルール、モンスターのスペックを決めるルール、などです。

これらは全く新しい概念が多いため、スクラッチから破綻無く作る作業が不可欠です。ゲーム屋がふざけたことばかりやってる、というご意見が的外れであることが分かるかと思います。地味です。エクセルの表なんか畳何畳分にもなります。

それを成立させる新たな世界観を作る

物事の行動規範は、それだけで発生して存在している訳ではありません。それを許容する社会的なバックボーンも、自然に架空の設定が受け入れられるよう、整合性をとったち密な設計が必要です。

またまた同じゲームの例では、こういう解釈も。

例えば、モンスターは敵にも味方にも設定できます。ポケモンでは、基本的にはトレーナーと仲が良いという設定にすることで、色々なストーリー展開を作りました。ゲームによっては、人間とモンスターが敵対した状態を作ることでゲーム性を説明するものもあります。

つまり、現代のこの世界にもしこんなモンスターが存在したら?という仮定を、どんどん具体的なシステムに落とし込む作業もしていかないと、違和感だらけで感情移入してくれないゲームになってしまうのです。

仮面ライダーの怪人デザインなども、その時のライダーの立ち位置によって、むちゃくちゃグロテスクな時もあったし、割とポップなデザインの敵だったり、なども同じような「世界観」が統一的に朝用するからそれが選択されたわけです。

その世界の行動にふさわしい新たなUIを作る

ルール、世界観、ができて、それが実社会に実装されれば、生身で暮らしていくことができます。しかし、それらはゲームマシンの上にバーチャルに作られます。

つまり、どのゲームでも共通のボタンしか使えないゲームマシン上で、全く違うシステムを動かす必要があります。

タイトルごとにUI(=ユーザーインターフェース)を専用に考える必要があります。

リアルタイムのサッカーゲームに要求される操作体系と、RPGのような対話型で進むゲームに要求される操作体系は全く違います。さらに、同じPRGでも、リアルタイムな反応が要求される場面が多いタイプと、じっくりとユーザーのペースで進められるもの、さらに大きいDBを参照しながら進むもの、画面内の情報だけで進むもの、など、様々な要因で、最適なUIは異なります。

こんなシステマチックなことを

ゲーム屋さんは、なんと、1つのタイトルを生み出すごとにこんな作業をしているのです。少し褒めてあげてもいいかもしれません。

実際は頭の中が煮えながら地道にやってます

さらにこれが

一般的なサービス設計に使える、ということがゲーミフィケーションの成立理由になると考えています。

敢えてゲームを例に説明をしてしまいましたが、上記の説明、例えば

バーチャル貨幣が市場に普及したらどうなる?

などと読み替えると、作業自体の汎用性が高いことが分かります。

次回は、これらの一般的な作業から、さらに具体的な作業を成立させるための「目的」を説明していきます。


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