チューバ 吹部の最低音を支える不遇の重さMAX巨大戦艦
丁度良いイラストが無かったの・・・
間違いなく吹部を「支える」存在です。
でも、構造、奏法、色んな無理が詰まってます。ある意味不遇の存在。
でもでも。自分も吹いていましたが、その時に知っていれば!というポテンシャルに今頃気付いてます。もっと上手になって、バンド全体の音を変える!というところまで行けばよかったなー、と後悔してます。
まだまだ浮上していけるチューバ。その魅力を語ってみたい!
そして、チューバ吹きのみなさん、バンドの音を変えちゃってください!
でも、まずは不遇だなーと思うところを見てみましょう。
三大特徴
- デカさ
- 重さ
- 床に直置き
このあたりの特徴は低音を出す楽器の宿命ですね。
さらに、格好良くアクションを決められるような持ち方もしにくい。
遠征では車があればそこに預けられますが、中学校くらいだと平気で自転車や電車移動などさせられました。
中学生の体格で手持ちでフルサイズのチューバを持ち歩くのは大変です。
このあたりは
も同じような悩みを抱えています。低音族・・・可愛そう・・・
べ、べつにうらやましく…
心の中で、フルートやクラの身軽さをちょっと呪ってました。ちょっとです。
でも、不遇の立場が染みつき、直接文句を言ったりしませんし、できません。
では小さいチューバがあれば良いのに…と言っても音域の問題で簡単ではありません。
C管、F管、と少し小さくなりますけど、自動車が軽自動車になったくらいで、車は車。やはり大きく重いことには変わりはありません。
そんな中、悪ノリとしか思えないけど、さらに1オクターブ低いのがあったり、F管とC管のダブルがあったりします。この辺は、歴史的にはユーフォがテナーチューバと呼ばれていたり、と比較的固定が遅かったのもあって、こんなに面白いことになっているのだと思ってます。
ちょっと変わったところでは、管径を細くして二重に巻いたトラベラーズチューバってのもあり、音域は普通のチューバ、でもサイズはユーフォ。結構気になります。
子供、女子には・・・
この大きさ、だいたいの大人なら問題ありません。体格と体力と、あとは経済力で移動エネルギー問題もなんとかなる。
しかし。中学の時(自分です)のチューバ吹きの悲劇を思い出します。
草野球ならお前キャッチャーね的ながっちりタイプの新入生が来ない場合もあります。
たった1人の男子だったりして、しかもまだ女子より成長が遅れててほぼ小学生サイズなのにチューバ、などの割り当ては多分全国で発生してるはずです。
もはや楽器にぶら下がる人。
自分も中2でチューバも吹いていたから、座布団ひいて演奏している生徒を見るとニヤニヤしてしまいます。
また、女子プレーヤー。
恐らくもうちょっと可憐でキラキラして前の方に座る楽器を希望したのにチューバになってしまった人もいるでしょう。女子校なら必ず。
それが工場の管が這い回ったようなゴツい楽器になってしまった。不幸・・・なんでしょうか!?
でも、悲しむ事はありません(ここから良いこと!)
夢に憧れる時期はどうせすぐに終わります。
演奏を重ねるごとに魅力に気づくはず。
休む事なくバンドを支え続ける充実感。
比較的大人しく真面目な男子が多いパートで大切にされ続けること。
そんな人生が待っています。なんなら「ものすごく上手!」という人があまり目立って出ない特性を利用して、音大受験まで考えてもいいでしょう。
さらに音楽的には「絶対になくてはならない」パートが、低音族です。
今、ブリーズバンドと名前を付けられた、少人数編成が脚光を浴びています。
編成によって、金管中心、木管中心、打楽器中心などありますが、ベース音を出す楽器が外されることはまずありません。
必ず音楽構成上、入れないと音楽にならないのです。
しかし楽器の中での位置付けは…
音楽的に重要!でも、チューバは音楽的に若干難しい面もあります。
コントラバスのような「余韻」が産まれにくいのです。
吹奏楽作品であれば特徴を分かったフレーズになりますが、オケ作品の吹奏楽アレンジだとコントラバスのパートを割り当てられます。
それをチューバで再現するのは大変。
基本「金管の低いの」を期待された部分は問題ありません。
「弦の低いの」のコントラバスの部分が、どうしてもコントラバスっぽくは再現しにくいです。
それっぽくするならば、楽譜より少し長めに余韻を残す。これで、少しコントラバスに近づけます。
でも、アルコの高調波入りの音を出すのは無理なのでいさぎよくあきらめます。
では、吹奏楽作品なら問題ない?
それはそれで、「全曲に渡って最低音は頼むぜ」というハードワーク問題があります。
ジャンルによっては、スーザのマーチのように、いつ息継ぎするんだ的な、「吹きっぱなし」状態。
さらにマーチでなくても、低音を曲全部で支えないといけない。
良い部分としてとらえるなら、ある意味出番だらけ。と考えましょう。
そんな訳で自分の中では、ネガティブとポジティブを入り混じった状態を行き来していました。
しかし!主役になれることもあるのです!
チューバも主役になれます
まずはスピルバーグ監督のSF映画。未知との遭遇。
ずーっとチューバですよ、あのシーン!しかも演奏者は…(ぜひググってみて下さい)
次に音域。
金管は低音側は管の長さでちゃんとした音には限界がありますが、上は頑張れば広げられます。
つまり、チューバが旋律を担当してもいいんだ!というのを、チューバをやめたあとに気づきました。
ユーフォの様な繊細な表現と、重低音も響かせられる。ある意味、低い方の音域限定ならチャンピオンです。
持ち運びの便利なフルートさん達、 実は低音が出せないことで、アンサンブルはやりにくかったりします。
でも、チューバなら上達したらチューバだけのアンサンブル、というのが可能です。
ぜひポテンシャルを引き出して
「低音の伴奏」だけを演奏していると、この「ソロ楽器としてのポテンシャル」に気づきにくいかと思います。
ぜひ、良い演奏を聴いて、自分の楽器の音がどこまで出せるのか?を知ってください。
知ったあとに、オケ作品、吹奏楽オリジナル、で要求されていることを表現するだけで、一段階上の演奏ができるようになります。
チューバの魅力を知るには、簡単です。CD買って来れば良いのです。
005: 吹奏楽練習法 3000円を用意してください・・・(こちらをご覧ください)
欠点もありますが、大胆な解決法も
音響的な欠点がもう一つあります。
立ち上がりが遅いこと。さらに跳躍はそんなに得意じゃない事。コントラバスよりこの特性は大きいかもしれません。
一つの解決法は、「意識的に速めに吹く、さらに終わるときは余韻を残して吹き終わること」。
これだけでも、かっこいい低音になります。
もう一つは、大胆です。
低音充実型ハイブリッド編成を行う
コントラバス4本 ・チューバ2本 みたいな編成はいかがでしょう。
また、がんばって全員チューバとコントラバスの持ち替えができる様になっておき、曲によって大胆に編成を変化させる。
あー、一度見てみたい。
コントラバス6本の吹奏楽編成。たぶん、異次元の低音が響くと思います。