YAMAHA CP 88はえらく有名だけどわが家にあるのは…
時代のアイコンになるも後輩がいない孤高の存在。
いま買えるのはこっち。CPの名を冠したモデル。ずいぶん小さくなりました。
型番で呼ばれる楽器
世の中には型番で呼ばれる楽器があります。工業的に付けられることが多いので電気楽器が発達してから。
その中で、文字数少ないのはもうある意味レジェンド。 そんな中の一つが YAMAHA CPシリーズ です。
ある意味孤高の存在。YAMAHA、というエレクトロニクスもクラシック系手作り楽器も全部やってる総合楽器メーカーだからこそ作ることができた、唯一無二の存在です。あこがれ、がほとんど。個人で持ってる人はどのくらいいたのだろうか。
これまでもピアノの電化はあった
電気+ピアノの歴史を頭の中で振り返ります。
1.自動演奏(自動ピアノ) 機械の力で打鍵
おいおい、幽霊が弾いてるよ的な。楽器部分はアナログピアノで、初期のものは自動打鍵装置もアナログ。
今もそんなに数は多くないのですが、見た目が面白いのでホテルのロビーなんかで幽霊が弾いてるみたいに、ムーンリバーなどが演奏されていたりします。
舞浜のあの国のアトラクションで、古い物件の見学ツアーがあります。お化け的な。その途中で、スクエアピアノが鳴ってますよね。あれは音は出してないと思いますが、あんな感じです。結構古くからあると思います。
浜名湖オルゴールミュージアムWebより(他のモデルもたくさん紹介されてます)
1900年代初期に、酒場でジュークボックス的に使われていましたが、現在はもう少しMIDIデータが演奏できるなどの発展をして、スマートになっています。スマートを通り越してシャレオツです。
2.電気ピアノ(CPはこれ)
電子、じゃありません。エレクトリックギターと同じ、弦の振動をコイルで拾って電気的に信号を増幅。 ちゃんと弦が張ってあって、打鍵メカニズムも通常のピアノ風で、反響板がないもの。
箱はある程度デカいので、増幅しなくても、深夜弾くにはちょっと大きい音はします。
3.電子ピアノ
今の形式のシンセの少し前。アナログ回路でピアノの音を作ったもの。鍵盤はスイッチなので、色々なタイプがありました。 そういや、一個持ってたけどどこにやったのだろう。あ、あげたんだった。あいつだ。思い出した。
4.デジタルピアノ
今の主流。アナログがデジタルになった、だけでは無く、音の作り方で大きく2つに。
①計算で波形シミュレート ピアノの波形を計算で作り出してしまうもの。演算能力が高ければ高いほど、色々なパラメータを駆使できますが、打鍵ノイズや箱鳴りの再現は難しい。
②波形を録音して再生PCM方式 箱鳴りやノイズ?じゃあ丸ごとそれも録音してしまえ、という方式。波形データを格納するのに、メモリが必要なので、メモリ価格の低下と共に性能が上がる、という現代の工業的影響を受けまくる方式。
一見、楽な方式に見えますが、当然苦労はありました。
最新方式の初期の苦労
メモリはシリコンを原料にした半導体で、製造技術の向上で、回路をどんどん細かく作れるようになります。 それでも昔は高かったから、音程が安定してる部分を繰り返し再生するループを使い音を長くできるように。頭のノイズは別途足し算。
(頭の音)+(短い波形)×キーオフまで繰り返し。これは絵を描く必要がありますね。
頭の部分は録音されたものを1回再生、その後ろの定常的になってきた波形は一つを繰り返し再生、後ろに行くに従い、音量を小さくしていくことで、減衰するようにします。同じ大きさのままだとオルガンっぽくなります。
これで全音域の音が作れるか・・・というとちょっとそれは無理。
ピアノの波形は単に音程が変わると周波数が変わるだけではなく、倍音成分も変わります。
半導体の制限の範囲で、そんじゃこの音域はこれ、とマルチで波形を持つことを考えます。どこで割ればいいのか・・・。こういう苦労がありました。
しかし、どんどん半導体の価格が落ちてくると、究極は1音1サンプル、とすればよい。ここまで行かないにしても、マルチの数を増やしていき、ますます生の音に近付きます。
番外編:鉄パイプ電気ピアノ
ここでもなんやかんやと書いてみましたが、Rodesのエレピ。弦ではなく鉄のパイプを叩く感じ。
0035: Rhodes エレピ=ローズ=定番(こちらでかたり散らかしてます)
番外編:メロトロン
ある意味アナログPCM的発想です。 ピアノの単音を録音したアナログテープを、音程により再生スピードを変えて発音。独特な音になり、これも愛おしい楽器です。ビートルズも使っていました。
石橋楽器『懐かしのキーボードたち』より(別ページが開きます)
他のレジェンド型番楽器たち
すっかり電気的ピアノ話が長くなりましたが、「型番で呼ばれる楽器」。 このCPの他にも、DX7、808、m1など、ジャンルや時代によって代表を挙げてもらうと色々ありますが、開発した人、売った人、使った人の全部が重ならないとそうはなりません。 先人たちの偉業。素晴らしいです。
やっとCPの音の話
そんなCPですが。 (やっと本題) 普通のピアノと違い、ピアノ線の本数を減らすなどの違いがあります(ピアノは同じ音を複数の弦を貼っています)。
それによってより先鋭化した音色になり、それを上手く活かして80年代のフュージョン系では多用されてました。 シャカタク。久々に書いてみた文字列ですね。音がもう、CP独特の尖った感じ。
日本人だと八神純子さんは白いたぶん特注モデルを使ってました。
デジタル系で音が再現できるようになり、製造を中止されましたが、まだ現役で使ってるミュージシャンも居ます。
ピアノの構造ならでは、の手間として「調律」が必要。家にあるのも調律せねば。 ちなみに私の持ってるモデルは有名なグランドピアノ型ではなく76鍵のアップライト型。 CP-60M。
Rhodesと違い、 CP60さんは高値で売れたりしないかな。
さて、YAMAHAさんのWebを見ると・・・生産終了!・・・は良いけど・・・写真くらい残しておいてよ・・・
そんな素っ気ないページを見て、重量100kgということが! 間違い無く自分個人で持ってる楽器の最重量です。 1人で動かすのが大変だった訳だ。
こらならカバンにも入るCPの音を再現した最新版!
【急募】 皆さんの楽器、どのくらいの重さ?