色覚傾向の違う友人の世界
色覚傾向の違う友人の世界
かつては「色盲」と言われた、色の認知が多数派とは異なる症状です。障害者を障碍者や障がい者と書くように、ある時期から「色覚傾向が異なる」という表現に代わってきました。
人間の色の識別はカメラに似ている
色は三原色があって・・・というような説明をされることもあります。でも、実際の色は物理的には光の振動数。ここからここまでが1つめ、ここからは2つめ、全部で3つに分かれてます、なんてことはなく、シームレスに存在します。
生物が、この波をセンサーによって検知するわけですが、生物によってセンサーの種類や数が異なります。
人間の場合、先にこの構造を知っていたかどうかはさだかではありませんが、三原色という分類をしています。ちなみに、この人間型の分類でいえば、虫の一部は、四原色を見ている、とも言われます。
構造をみてみます。
デジタル系の仕事をしている人なら、すぐにわかる、「RGB」のセンサーそのものです。
色覚傾向が違う、という人たちは、この色を識別するセンサーの「錐体」のうち、1つ〜3つの機能が働いていなかったりします。全部働いている人は、日本人の男性では、90%以上。逆の言い方をすると、10%以下、くらいの少なくない割合の人は、全部働いている人とは違う色の世界を見ていることになります。
この「色覚傾向が違う」友人は、どんな風景を見ているのでしょうか。
色覚傾向が違う人が見る世界
左が、3種の錐体が全部働いている人の見える風景。右が赤の錐体が働いてない人(一番割合が多い)の見える風景です。これが両方ほぼ同じに見える人は、赤の錐体が働いてないかもしれません。
錐体は、RGBそれぞれにありますので、どれが働いていないか、で見え方が異なります。
傾向別に
一般形 C
1型 P
2型 D
3型 T
というように、別れます。
どのくらいの人が該当?
日本では、男性の5%程度、女性の0.2%が該当という調査があります。この割合だと、男女半々の40人の教室には1人はいる確率になります。私は男子校なので、2人以上。そんなに少なくありません。
また、人種によっては、国民の男性が11%、という高率な場合もあります。こういった数字を知り、色による情報伝達について配慮をすることは、非常に大切です。
最近は調査しない
かつては全ての小学校で検査を行っていたため、かなり早期に傾向の違いに気づくことがありました。
検査の目的は、かつては就職の際に、色覚傾向の違う人は色を扱う職業には不向き、という理解がされていたことがあった、などから、主に公務員就職の判断材料にもなっていたかもしれません。
しかし、現在では、「障害」ではなく「傾向の違い」とされたので、検査は義務ではなくなりました。
そのため、物心つく頃の年齢でも、自分が傾向が多くの人と違うことに気づかないことも発生しています。
これは、「傾向が違っても、日常生活であまり不便を当人が感じていなかった」ということでもあります。あまり、と書いた通り、一部で不便をすることはあります。このあたりは、また別の回に書いていきます。